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遺伝性疾患 テストステロンの分泌が2歳からはじまった人の話

息子には、3q29 microdeletion syndrome という、遺伝子疾患があります。

この疾患がわかるようになったのは、ほんの10年くらい前のことで、疾患自体に関して、まだはっきりとした内容はわかっていません。イギリスの Unique と呼ばれる、遺伝子疾患の人をサポートする団体に入っていますが、そこから送られてくるニュースレターやフェイスブックの投稿をみても、同じ診断が出ている人のなかにもいろんなタイプや症状があるようで、まだまだ解明されていないエリアなんだ、ということがわかります。

今日読んだ記事、A 4-Year-Old Trapped in a Teenager's Body の筆者は、自分の家計の男性(父親、祖父)もそうであったように、幼少のころからテストステロンの分泌が進み、身体の発達が異常に早いという症状で苦しめられてきたと書いています。幼児のころから、青年期のような体の発達があるため、小さい頃はいじめられたり、心は子供でも身体やホルモンバランスは既に青年期だということも影響して、反抗期も早くやってきてしまい、12歳ではもうタバコを吸っていたり、という子供時代をすごしたと書かれています。

実際に記事に載っている彼の幼い頃の写真をみると、実年齢よりも何歳も上にみえます。2歳児が5歳児くらい?8歳児が高校生くらい。

そんな彼自身が子供を授かることになり、自分のその遺伝性の突然異変が子供に遺伝してしまうかどうかのテストをすることで悩んだことがかかれています。テストして、もしポジティブだったら、その卵は育てないというチョイスをするのか、どうなのか、という決断です。

その卵を拒否するというのは、自分を否定するような気持ちになる。
でも、その卵の子供を育て、そのこが自分と同じような体験をして、苦しむのを知っているのに、それを継続してしまっていいのか、という気持ちもある。

私にも、下の娘を生むときに、同じような葛藤がありました。スタンフォード大学の遺伝子学の教授は、私がまた同じ遺伝子疾患を持った子供を授かる確立は、ほかの人がそのこを授かるのと同じ確立だろうと言ってくれました。ただ、いまの技術や科学ではわかっていないことで、私が影響していることがないともいえない、とも言っていました。結局、どちらとも確信はない、ということ。

障害を持っているこを産まない選択をするのはよくない!という風に訴えるプロライフや障害者の団体がありますが、私はそんなことは誰にも強要できないことだと思うのです。それぞれの家庭環境、経済環境、年齢、障害の種類などいろんなことを考慮した上で、その親が決める自由があってよいのだと、私は思うのです。命はどれも大切、といいますが、世の中に差別や貧富の差がある限り、それはきれいごとなのではないか、と思うのです。もちろん生まれてきている命を否定したり、差別することがあってはいけません、けれど、子供を授かることができない夫婦が治療を受けるように、昔にはなかった自然のままではないチョイスも、そんなチョイスが与えられるのであれば、その選択の自由があってもいいのではないか?と思うのです。障害を持った人と暮らしている、その近くにいる人だからこそ、それは理解できるのではないか、と私は思ってしまうのです。

私には。心のどこかで、みなが思い描くような生活ができる能力を息子に与えてあげられなかった、ということを申し訳ないと思っている自分がいます。そう思うことさえ、彼に失礼になる、と思う気持ちもあります。でも、両方の気持ちが私の本当の気持ちなのです。その気持ちにどちらが正しい、ということもないのだと私は思います。だから、私は他人がどちらかのチョイス、気持ち、を強要するのは、間違っていると思うのです。最終的には、当人だけが決められることだと思うのです。

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by spnd_ca | 2019-01-18 05:25 | メディア