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やっぱり、社会は甘くない

障がいのある人が就職するのであれば、アメリカのほうが受け入れられやすいと思う。もちろん、アメリカは日本に比べ、障がいを持った人の権利が守られていることや、社会全体の「違う人」への受け入れ体制ができていることもあるが、それよりも、「仕事」に対しての期待が低いことがあると、私は思っている。

コンシューマー、客として、日本では許されないような仕事にいつもぶち当たることにはもう慣れたし、仕事をする人の態度が悪いのにも慣れた。まだまだイラッとさせられることも多いし、損した気分になることも多い、けれどもその反面、「こういう世の中だから、私の息子でも働ける」とも思うのである。社会の仕事への期待度がさほど高くないので、クオリティが低い仕事をしても、さほど目立たないし、問題にもならないのである。

2週間前に昇進した息子。おととい、「生鮮ではもう働けないって、仕事が遅すぎるって」というクラーイ感じのLINEが送られてきた。もともとお客さんの前で荷物をバッグにいれてあげたり、掃除したりする、Courtesy clerk という仕事に向いてない息子は、はやくそのポジションから移りたくて仕方がなかった。生鮮課の仕事は自分のペースでできるし、楽しい・・・とその前日も話していたばかりだったから、息子も私もそのニュースはとてもショックなものだった。

セカンドチャンスをもらえないか、次の日、私はオフィスを訪れた。ストアマネジャの返信は、NO. 当然だとおもった。もう決定してしまったことを、外の人間がお願いしたからって、簡単に受け入れられるはずもない。

息子は、Department of Rehabilitation のクライアントでもあるので、担当のポールに事情を説明した。ジョブコーチを派遣してもらうことになっていたけれど、その必要はなくなった、という連絡メールしておいたのでポールは既に状況把握してくれていた。

ポールは私に、"What does he think of this move?" と聞いた。私は率直に彼がどれほどがっかりしているか、とても楽しがっていた、ということを伝えた。すると、”Do you think he received a fair chance?" と聞いてきた。彼のコミュニケーションのチャレンジなどを考えると、そうでもない、と答えた。私は、息子は早くはないが、もう少しできていると思うと思った、と答えた。ポールは、"Then, he did not receive a fair chance. It is up to you to advocate for him. If you think he should receive a fair chance, you should try." と。

いろんな人にメールしたり、電話したりして、アドバイスをお願いした。
で、息子と私で次の日に、オフィスへ赴き、生鮮課のマネジャーにお話することにした。

その晩、娘を寝かしつけながら、その話をした。「お兄ちゃんのために、セーフウェイにいって、セカンドチャンスをもらえるかどうか、お願いしないといけないんだよ。叶うかどうかわからないけれど、お兄ちゃんを応援したいの。」という話をした。話している間に泣いてしまったが、娘は黙って聞いていた。

次の日、セーフウェイに行き、マネジャーの手が空くのをまっていると、ユニオンの担当者が来た。そしたら、そこへマネジャーがやってきたので、オフィスへいって話をすることになった。アシスタントストアマネジャ、ユニオンレップ、生鮮課のマネジャー、その3人にセカンドチャンスがもらえないか、お願いした。どうも、生鮮課のマネジャは自分も忙しいのでトレーニングできない、だから仕事ができない息子を雇うことはできない、という話だった。それならば。。と、ジョブコーチの話をして、1週間でもいいからチャンスをくれるようにお願いした。そんな話をしている間にストアマネジャが入ってきて、すべてを承諾してくれた。チャンスはもらえることになった。

夕飯を食べているとき、娘が「Did XXX received a second chance?」と聞いてきた。息子が、"Yes" と答えると、娘は両手を挙げて、"Yeah!" と喜んでくれた。彼女が気にかけていてくれたこと、無邪気に喜んでくれたことが、とても嬉しかった。

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by spnd_ca | 2018-01-26 03:17 | ヤングアダルト (高校から~)